(留学中に出会った)スタートアップについて紹介する連載記事です。第一弾は「ねこのて」をご紹介します!
ねこのては日本人のCEOとベトナム人のCTOが中心となり起ち上げたロンドンのスタートアップです。彼らが主催するミートアップイベントに何度か参加したことがあり、イベントについては過去記事(ロンドンのクリスマス、ロンドンの日本人コミュニティ)でも少しご紹介させて頂いたことがあります。
今回は、ねこのての創業のきっかけやサービス内容などについて、実際に創業者の方々にインタビューした内容をもとにご紹介します。以下の通り、全4回の連載記事を予定しています。
【投稿一覧】
第1回:ねこのて創業のきっかけやサービス内容(本記事)
第2回:ねこのてミートアップイベントと今後の展望
第3回:ねこのて体験談(仕事を依頼してみた)
第4回:ねこのて体験談(ねこのてさんになってみた)
第1回:ねこのて創業のきっかけやサービス内容
【目次】
1.ねこのてとは
2.ねこのてのサービス概要
3.ねこのての中心メンバー
4.ねこのての創業のきっかけ
◆ねこのてのHP
1.ねこのてとは
ねこのては、2019年の5月に創業したロンドンのスタートアップです。イギリス在住の日本人コミュニティを対象に、何か困っている「依頼主」と何か手伝いたい「ねこのてさん」とを繋げるマッチングプラットフォームを提供しています。
依頼できる内容に制限はなく、受けてくれる「ねこのてさん」がいればどんな内容でも成立します。依頼内容の具体例としては、引越の手伝いや犬の散歩などの簡単なものから、ロゴのデザインやHPの作成など専門性が要求される内容まで様々です。
サービスをローンチしてからまだ1年も経過しておりませんが、登録者数は順調に増加しているそうです。次にねこのてのサービス概要を見ていきましょう。
2.ねこのてのサービス概要
先程ご紹介した通り、ねこのては何か困っている「依頼主」とその悩みを解決してくれる「ねこのてさん」とを繋げるマッチングプラットフォームです。利用に際して、入会金や登録料は一切不要です。
ねこのてのサイトに行くと、下記の様にタスク依頼を見ることが出来ます。掲載しているものは一部ですが本当に依頼は様々だということがお分かりいただけると思います。ではタスクの依頼からマッチング、タスクの完了までの流れを見ていきましょう。
下記が、ねこのてのプラットフォームを使って、「依頼主」がタスクの依頼を投稿し、「ねこのてさん」とマッチングし、タスクが完了するまでの流れを簡単に図示したものです。
依頼の投稿から、マッチング、「依頼主」と「ねこのてさん」間での条件の交渉から、報酬の支払いまで、全てがプラットフォーム上で完結することが出来ます。
サービスローンチ当初は、ねこのてが「依頼主」から「ねこのてさん」に支払われる報酬に対して一定のコミッション(仲介手数料)を取っていたそうですが、記事投稿時点においてはコミッションはゼロで、「ねこのてさん」は「依頼主」からの報酬を100%受け取ることが出来ます。
「依頼主」、「ねこのてさん」になるには会員登録が必要です。登録は、メールアドレスとパスワードを入力するだけで簡単に出来ます。
ログイン後に下記の様にアカウントの詳細情報を登録出来ます。
全ての登録が完了する迄に3分程度しかかかりません。タスクの投稿や依頼に応じるまでの流れは、第3回と4回で詳細をご紹介します。
3.ねこのての中心メンバー
HPのメンバー紹介にもあるように、ねこのては全部で7人の中心メンバーがいます。今回はその中から、CEOの浜さんとCTOのキエトさんについてご経歴を紹介します。
まずはCEOの浜さんです。浜さんは海外渡航が自由化されて間もない時期に欧州に初渡航。一度日本に帰国するも、そのまま日本で就職するのは面白くないと、再度渡英し、現地でJapanese Grill Room Hamaという日本食レストランを開店します。当時はまだロンドンに日本食料理店は5店舗程しか無かったそうです。
その後、自動車ディーラーの会社を開業し、トヨタ自動車のディーラーとして欧州における販売を担い、当時の一(いち)ディーラー(拠点)としてはトヨタ自動車の欧州トップ・ディーラーとしての地位まで上り詰めます。2003年に豊田通商に当該事業を売却し、50代で一度はビジネスの世界から退くこととなります。
しかし、生粋のシリアル・アントレプレナーとしての情熱は衰えることなく、まだチャレンジしたことのない、「IT×シェアリングエコノミー×自身が今迄携わったこと」を切り口にシェフを派遣するehochef.comを開業します。
このときに、未だ土地勘のないITの領域を担うメンバーを探して、現CTOであるキエトさんと出会います。そして、ehochefのプラットフォームを活用した別のサービスとして2019年にneconote.comをローンチします。
◆浜 哲郎(Hama Tetsuro) CEO
1971年 初渡英
1973年 Japanese Grill Room Hama開店
1979年 自動車ディーラーJEM開業
1991年 トヨタ自動車ディーラーJemca開業(2003年に売却)
2006年 So Restaurant開店
2012年 Sozai Cooking School開業
2017年 料理人サイトehochef.com開始
2019年 マッチングサイトneconote.com開始
日本料理アカデミーUK理事長
Japan Society元理事
続いて、CTOのキエトさんです。キエトさんは (ご両親とも)ベトナム人ですが、日本生まれ日本育ちで、見た目も話していても、関西人のお兄さんとしか思えない方です。小学生の頃から海外への憧れが何となくあったそうで、縁あってイギリスに住んでいるご親戚のもとに、小学5年生の夏休みに家族旅行で渡英したのが、その後の留学のごきっかけだったそうです。
それ以降も、海外に行きたいという思いが募り、高校卒業後にUCLへ留学します。ご本人曰く、元々日本人では無いし、ベトナム人としてのアイデンティティも崩壊状態だったので、日本を出る事に抵抗は全くなかったそうです。(しかし、いざ出てみると、最初は早く卒業して帰りたいという思いはあったとのこと・・・)。
元々、モノを作ることやコンピューターが好きだったそうで、コンピューターサイエンスを専攻し、在学中からエンジニアとして仕事もしていたそうです。卒業後は英国の信販会社にエンジニアとして就職し、企業のバックエンドを経験。在職中も、UCLの同級生とカザフスタンのデートサイトを起ち上げたり、モバイル系のスタートアップにも携わっていたそうです。
その後、AirBnBなどのシェアリングエコノミー系のスタートアップが脚光を浴び始める中、自身も民泊サービスを提供する会社に転職します。そこで、ウェブ周りの技術を一通り経験し、ご縁があって、浜さんとehochefを一緒に始める事になったそうです。
◆リ・キエト(Le Khiet) CTO
ベトナム生まれ、日本育ち。
(生粋の関西人)
2010年 ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)コンピューターサイエンス学科卒
2013年 プログラマとしてHouseTrip勤務
2015年 ehochef.comに参画
2019年 neconote.com を浜さんと開始
4.ねこのての創業のきっかけ
ねこのての創業のきっかけは偶然といえば偶然だったそうです。2015年から準備し2017年にローンチしたehochefのサービスですが、当初から認識していた競合他社が大きくなり、また提供するサービス内容についても改善する必要が出てきた為、ピボット(事業の方向転換)を迫られ、そのために新しいプラットフォームが必要となったそうです。
その際に、ehochefの新たなプラットフォームをそのまま転用して何か新しいことが出来ないかと考えた末に生まれたのがねこのてだったそうです。 浜さんとしては、ITの発展に伴い個人と個人が直接取引できる社会に急速に変わりつつある中(Airbnbやメルカリの台頭)、今後はもっと 知識やスキル などの無形のもののシェアが行われると思い、空き時間を有効活用し、それまで使われていなかった個人のスキルなどをお金に換えることができるプラットフォームを提供出来ないかと考えたそうです。
また、英国ではMixBという基本的には匿名の掲示板が、日本人同士が情報交換をする上で最大のコミュニティとなっています。しかし、匿名性かつ掲示板という性質故に、何か困ったときの解決策を見つけようとしても、個人とスキルがマッチしている訳ではないので、適切な記事にたどり着くことは至難の技ですし、投稿されている内容の信頼性にも不確かさがあります。(レビュー機能もなく、投稿されている内容についても運営側が一切責任を負わない形となっています。)
ねこのてはMixBにも変わる受け皿として、日本人同士が困ったときに助け合うコミュニティに育てばとの思いもあるそうです。
ここまで読んで頂いた方で、ねこのては実際にどこで儲けるのだろうと疑問を持たれた方もいらっしゃるかと思いますが、その点は今後の展望とも合わせて、第2回の記事でご紹介させて頂きます。
いかがでしたでしょうか?ねこのてにもしご興味を持って頂けたら、イギリス在住の方は是非一度利用してみて下さいね。
⇒ねこのてHP ※3分ほどの会員登録ですぐに利用できるようになります!
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