前回に引き続き、ロンドンのスタートアップであるねこのてについてご紹介します。
今回は、ねこのての今後の展望やミートアップイベントについてご紹介していきます。
※本記事は、実際に創業者の方々にインタビューした内容をもとに作成しており、全4回の連載記事を予定しています。
【投稿一覧】
第1回:ねこのて創業のきっかけやサービス内容
第2回:ねこのてミートアップイベントと今後の展望(本記事)
第3回:ねこのて体験談(仕事を依頼してみた)
第4回:ねこのて体験談(ねこのてさんになってみた)
第2回: ねこのてミートアップイベントと今後の展望
【目次】
1.ねこのて利用者数の推移
2.ねこのて利用者の声
3.今後の展望
4.ねこのてミートアップイベント
1.ねこのて利用者数の推移
在英日本大使館の調べによると、2017年時点でイギリスに約6.3万人の日本人が滞在しており、その殆どがイングランドに集中しています。(イングランドで約5.9万人、グレーター・ロンドンで約3.4万人)
一方、ねこのては5月のサービスローンチから1月末時点で約750名のユーザーが登録しています。ですので9か月間で、イングランド在住の日本人の約1.3%、グレーター・ロンドンの2.2%のシェアを占めていることになります。
以下は簡易的にユーザー数の推移を見える化したグラフです。サービスローンチから1年も経たない間にロンドン在留邦人数の2.2%のシェアに相当するユーザー数を獲得しており、正にスタートアップ的な成長曲線を描けていると感じます。
在英日本商工会議所の会員数が380程度なので、登録ユーザー数で見ればイギリスの最も大きな日本人コミュニティの一つに既になっています。
2.ねこのて利用者の声
続いて、ねこのてに寄せられたユーザーの声についてご紹介します。(HPからの抜粋です。)
前回ご紹介した通り、庭の掃除や部屋の片づけなどお手軽なものから、イベントの手伝い、包丁研ぎ(実際にシェフの方が研いでくれたそう様です)など、様々です。依頼を受けてくれる人物がいれば成立するため、ねこのてにお願いできることは制限がなく、依頼主の想像力次第で色々な使い方が出来るのだと思います。
また、ねこのてには会員向けにイベント作成機能やスケジュール調整機能も無料で提供しています。なので、ねこのてでイベントに必要なスタッフを確保し、告知用のイベントページを作り、出欠をとるということも纏めて出来てしまいます。
以下、サンプルで作ったイメージです。ページと共有できるリンクが1分程度で簡単に作成できてしまいます。
出欠表も以下の通り、簡単に作成可能です。(日時も複数選択可能)
3.今後の展望
前述の通り、短期間で登録ユーザー数を増やしてきたねこのてですが、ここにきて3つの壁を感じているそうです。3つとは、「①登録ユーザー数の成長率の鈍化(先程イメージで示した指数関数的な伸びというよりも寧ろ線形曲線の様なコンスタントな増加)」、「②Retention Rate(顧客維持率)」、「③プラットフォーム上でのマッチング成立数」だそうです。特に②について深刻だと考えているそうです。
②=継続利用利用数÷新規ユーザー数
③=依頼の投稿数×マッチング率
なので、②を向上させることが依頼の投稿数の増加に繋がり、結果的に③の向上にもなるからです。そして、ユーザーがリピートする、投稿も活発で確りとマッチングするようになれば、①の向上にも繋がります。
性質として「依頼主」は依頼したタスクが完了すればその時点で利用が終了し、当たり前ですが新たに依頼したいタスクが出てこなければ再度利用しません。また、定期的に依頼したいタスクがあったとしても、初回以降はねこのてを介さずに相対で依頼するということも現実的には可能です。よって、様々な依頼を幅広く取り込み、依頼投稿の絶対数を増やすことが肝要となってきます。
また、「依頼主」が自由に依頼を投稿できるが故に、そもそも何を依頼したら良いのか分からないということもあるそうで、投稿数自体が中々増加してきていないそうです。依頼の投稿がされれば、それに応じる「ねこのてさん」とは比較的すぐにマッチングするそうです。
ehochef.com (ねこのての姉妹サイトのシェフ派遣サービス)でも同様だったそうですが、サービス提供者(シェフ)はすぐに見つかるものの、アクティブユーザー数と利用頻度の伸びが低調で、そもそものマッチングが想定よりも起こらないことが課題だったそうです。ユーザー(「依頼主」)が毎日・毎週でもサイトを覗きに来てくれ、もっと気軽に幅広く依頼を投稿できる様になる施策がないか日々試行錯誤しているそうです。
当初は導入していたコミッションフィー(仲介手数料)をゼロにしたのも、プラットフォーム上での依頼の投稿をより行いやすくし、マッチングしやすくするためだそうです。そして、短期的なマネタイズは一旦忘れ、まずはユーザーの確保とアクティブユーザー数(主に依頼を投稿するユーザー数)を向上させ、プラットフォームとしての価値を高めることが優先しているとのこと。
その後のマネタイズのやり方は、データビジネスなど色々と考えているそうです。(ここら辺の考え方は、結局リクルートのリボンモデルの様な仕組みを愚直に作っていけるかが成否のカギとなるのでしょうか・・・?)
CEOの浜さんは、ロンドンからヨーロッパ諸国、その他地域と展開し、日本人のグローバルなネットワークにしていきたいとの思いもあるそうです。よく考えてみると、同じアジア人でも中国人は大体どこでもチャイナタウンというコミュニティが存在します。ジャパンタウンも無いわけではありませんが、中国人コミュニティと比べると圧倒的に少ない様にも感じます。
ねこのてがジャパンタウンに変わる、バーチャルな海外における日本人コミュニティになれば良いなと、この記事を書きながら思いました。
4.ねこのてミートアップイベント
さて、そんなコミュニティになるという思いもあってか、ねこのてでは定期的にイギリス在住者のミートアップイベントを開催しています。私自身も過去2回ほど参加したことがありますが(過去記事:ロンドンのクリスマス、ロンドンの日本人コミュニティ) 、参加者は様々なバックグラウンドを持っており、参加年齢も比較的高いため、個人的には貴重なお話を聞けるネットワークの場となっております。
「ねこのてさん」などのユーザーの声を聞いてみたいということで始めたイベントだったそうですが、実際の参加者はユーザーに限らず、(友人からの声掛け等で)イベントに参加して初めてねこのてを知ったという方も結構いらっしゃるようです。会にも依りますが、大体20名程度の参加者が集まるようです。
また、開催される場所も様々です。私が参加した会では、浜さんが経営される料理学校(Sozai)が会場で、そこの日本人の先生の方が作られた美味しい日本食が、お酒とともに提供されました。早めに登録すると割引も受けられ、大体£25ほどで参加することが出来ます。ロンドンで普通に外食することと比べると大分安いのではないでしょうか!?
ねこのてHPで定期的に告知されているので、是非こちらのイベントにもご興味持たれた方は参加をご検討下さい。
いかがでしたでしょうか?ねこのてにもしご興味を持って頂けたら、イギリス在住の方は是非一度利用してみて下さいね。
⇒ねこのてHP ※3分ほどの会員登録ですぐに利用できるようになります!
次回は、実際にねこのてに仕事を依頼してみた体験談についてご紹介します。
◆次の記事を読む。
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