先日参加した、UCL MSc. Entrepreneurshipが主催するPitch Dayについてご紹介します。
今回は、2/24(月)に開催されたPitch Day(ビジネスアイデアをプレゼンする大会)に参加してきたので、その概要と実際にピッチしたアイデアについてご紹介します。
【目次】
1.Pitch Dayの概要
2.プレゼンしたビジネスアイデア
3.Pitch Dayの結果

1.Pitch Dayの概要
Pitch Dayは私が在籍するUCLのMSc. Entrepreneurshipのコースが年2回(2月と7月に)開催している、ビジネスアイデアをプレゼンして競う大会です。会自体は、大きくはプレゼンする①Pitch Contestと②Showcase(バナーやチラシ、実際に商品を見せて来場者に紹介する展示会の様なもの)の2部に分かれます。今回、私はクラスメートと一緒にPitch ContestとShowcaseの両方に参加しました。
【構成】
14:00-15:00 出場者の準備(Showcase用の会場設営等を行います)
15:00~ 開場
15:00-16:00 Showcaseが開始
16:00-18:00 Pitch Contestが開始
18:00-18:30 Guest SpeakerのSpeech
18:30-19:00 引き続きShowcaseを継続
19:00~ 入賞者の発表と表彰式
(軽食なども出され参加者間のネットワークキングの時間となる)
20:00 終了
場所はBaseKXというKings CrossにあるUCLのStartup Labで開催されました。

昨年末に予備審査があり、それを通過した人が本選のPitch Dayに参加出来ます。今回は25組の応募があり、そこから通過した13組で競うことになりました。
2.プレゼンしたビジネスアイデア

私達がプレゼンしたアイデアは、UB(Your Beautician)という「国籍別で美容師個人を検索できるウェブサービス」です。
思い返すと、ロンドンに来た2週目位に、クラスメートのふゆさん(今回一緒にピッチした方)と飲みに行ったときに、CDLSというクラスのPPPという課題 について話していました。(ビジネスアイデアを決めて、それを具体化していく為の週次のPlan(計画)を設定し、毎週末にProgress(進捗)とProblem(問題点)を分析し翌週のPlanを立てるということをTerm1の間ひたすら繰り返すというもので、結構大変だった課題です。)お互いにまだやりたいビジネスアイデアがある訳ではなく、 テーマをどうしようか 困っている所でした。
そこで、海外で髪を切るのに困らないかという話になり、実際にふゆさんも昔Leeds(イングランド北部にある都市)に住んでいたときに、近くに日本人の美容サロンがなく、現地のサロンにいって散々な目にあったことがあるそうで、これはありかもということで、PPPのテーマに選んだのがきっかけでした。イギリスで日本人だけを対象にしても日本人の数は知れているので、他の国籍の人にも同じことが言えないかと、毎週のPPPで色々な国籍の人達に話を聞き始めました。
結果的に50人位から話を聞き、アフリカ系(ジンバブエ、モロッコ等)やアジア系(中国、韓国等)や一部のヨーロッパ諸国の人からは、自分と同じ国籍や類似のバックグラウンドを持った美容師に髪を切って貰いたがること、初めて訪れた異国の地では当該条件に当てはまる美容師を探すのに苦労しているというコメントを貰いました。また、Curly Hair(くせ毛)の人はアフリカ系の美容師を好み(かつその店を探すのに結構苦労していたり)、女性だと自分の国に帰ったときしか切らないという人もいました。一方で、イギリス人や多くのヨーロッパ諸国の人、特に男性は余り気にしないという反応でした。やはり、ユーザーをExpatsに絞れば結構ニーズがありそうだなという思いが強まりました。
他方で、検索によってユーザーとマッチングさせる美容師側の提供価値を考える必要があるので、同じ様に話を聞きに行こうとしたのですが、これが結構苦労しました。ユーザーと違って美容師さんに話を聞きに行こうとすると大体業務中になってしまい、忙しいからということで基本相手にしてくれませんでした。しかし、飛び込みや、知人の紹介、メールでヒアリングのお願いをして、いくつかのサロンや美容師学校、フリーランスの方から話を聞くことが出来ました。
当初は、サロン等に属している美容師も対象になるかなと考えていたのですが、サロン側が美容師個人に客が着くことを嫌がったり、契約で業務外で個人的にカットすることを禁止している所もあり、フリーランスに絞って話を聞いていくことにしました。結果的にユーザーと同様に(フリーランスの)美容師にも提供価値の候補となりそうなものが見えてきました。(が、ユーザーと比べると全然話が聞けていないので、今後ももっと検証が必要な所です。)
その後、Term1で行ってきたCustomer Development(顧客開発)の内容を基に、冬休み期間中からMVP(プロトタイプ)の作成を開始しました。以前の記事でも少し触れましたが、テックアカデミーというオンラインのプログラミングスクール(◆プログラミング学習)で1か月間でフロントエンドの基礎(HTML、CSS、JavaScript等)を学び、残りの1か月間でチャットで質問しながらMVPを作成しました。

プログラミングは、学部時代の卒論期間でC++を3か月だけ勉強しただけの初心者でしたが、当初想定していた以上のものを作ることが出来ました。本当に良いコースだったと思います。(ここら辺はまた別記事でもご紹介します。)
以下が実装した機能とMVPサイトのリンクです。
【MVPの機能】◆MVPを見てみる。※1
①ユーザー・美容師の新規アカウントの作成
②ログイン・ログアウト
③Landing Pageの検索Boxで選択した国籍に該当する美容師一覧を表示
④detailsをクリックすると美容師経歴の詳細を表示
⑤ログイン後、chat-boxにて美容師とメッセージのやり取りが可能※2
※1美容師のフェイクアカウントがUnitedKingdomだけでしか作成していないため他の検索条件ではまだ何も表示されません。
※2未だ作業中でルームが分かれてないので全部のメッセージが表示されてしまいます。
テキストに載っている内容だけでは、当然ですが作りたいものには足りず、Google 先生とクラスメートのcoder(AliとAndrey)、後ねこのてさんの助け(◆ねこのてのご紹介③)も借りながらなんとか1か月間で作ることが出来ました。本当は位置情報を検索条件に加えたり、PayPalのAPIを使って決済機能なども付けてみたかったのですが、時間も無くMVPにはToo Muchなのでここら辺は今後勉強してみようと思っています。
私がMVPを作っている間に、ふゆさんがロゴを作ってくれたり、Pitch Deckやスクリプトのドラフトを考えてくれました。また、他の参加者が既にサービスをローンチしていていることもあり、絵に描いた餅ですが、Financial Forecastも作り、現実的に獲得出来そうな人数のユーザーと美容師を集められれば、充分な売上と黒字化も出来るというロジックも一応考えました。
また、作成したPitch Deckも友人(KrisとOliver)やふゆさんが住んでいる家の大家さんにも実際にPitchして、フィードバックを貰いながらブラッシュアップしました。(途中喧嘩をすることもありましたが・・・)課題の提出もある中、お互いが授業以外の時間を殆ど使って取り組みました。
そんな中でいよいよ本番を迎えました。果たして結果は・・・
3.Pitch Dayの結果
いよいよPitch Dayが始まり、最初はShowcaseです。以下のバナーを作成して、タブレットでMVPのサイトを表示しながら、どんなサービスかを説明しました。コンセプトには結構共感してくれる人が多く、特にアジア人はすんなりコンセプトを受け入れてくれるなと感じました。実際に今美容師を探しているので、このサービスを使えないのかと聞いてくれる人もいました。
一方で、ユーザーがリピートするインセンティブ、美容師側が中抜きしないインセンティブが何かという質問は結構有り、これはいくつか案を考えているのですがまだまだ弱い部分で、やはり今後の課題なのだと感じました。

入場者は以下の様なUCLポンドを3枚渡され、気に入ったアイデアに投資することが出来ます。最終的に一番多くのUCLポンドを集めたチームがPeople’s Choice賞に選ばれます。その他に、Best Pitch賞とBest Idea賞があり、合計で3組が1,000ポンドの賞金を獲得することが出来ます。

そして、16時からいよいよPitch Contestが開始です。全部で80席くらいあるのですがほぼ満員です。ゲストスピーカーとして、Uber LondonのMr.Forrest(Head of Customer Experience)が講演することもあり、事前の予約は全て埋まっていたそうです。また、参加者にはUCLの大学関係者(学生や教授)だけでなく、投資家も含まれていました。


MSc. EntrepreneurshipのProgram Directorである我らがSimonによる挨拶で会が始まります。持ち時間は1組当たり10分(プレゼン7分、Q&A3分)が与えられます。私達は4組目でした。直前にパワポに張り付けた (デモサイトに飛べる) リンクが上手く作動しないことが分かったりで、ドタバタしつつも徐々に緊張感が増していきました。そして、私達の前のAdamと Florence&Talithaのプレゼンを聞いて、緊張感はピークに達します。(この2組は既にサービスローンチしていて優勝候補と予想していたのですが、やはりプレゼンの話し方や構成、ピッチのデザインも凄かったです。)

いよいよ私達の番が回ってきました。周りの生徒と比べると英語はきれいではないし、サービスをローンチしてる訳ではないので、確りとウケを取りつつプレゼンするという作戦でした。ふゆさんの「Good afternoon, everyone. We are… UB !!(ここは二人でハモリます)」という台詞でスタート。狙い通り会場に笑いが起こります。そこから、ふゆさんの実体験に基づくProblemsのストーリーと続きます。ここも、会場から笑いが起きたり、壇上から見ていても楽しそうな表情で話を聞いてくれているのが分かり凄く良かったです。

私のパートから、ビジネスモデルや市場規模、Financial Forecastの説明です。前半よりもスライド数自体は多く、ポイントだけを短く話さないと時間をオーバーしてしまうのですが、数値や%が多かったので言い間違えないか不安でした。しかし、何度も練習した甲斐あり無事に時間内に終えることができ、最後のCall to Actionでフェイクで作成したSimonの美容師ページを見せることで、落ちの笑いも取ることが出来ました。

プレゼン後のQ&Aでも会場から2つ質問をもらいました。他のチームで質問が一切出なかった所もあるので、総じて関心を持って貰えたのだなと実感しました。
そこから残りの9組のプレゼンがありました。各々がいるフェーズはバラバラですが(既に会社登記してサービスローンチしている人から、未だアイデアだけの人まで)、みんなが全力でピッチしました。
ピッチが終了し、ゲストスピーカーであるMr. Forrestの講演です。ただ、この頃には疲れと緊張の糸が切れたこともあり、彼の話は何も頭に入って来ませんでした笑・・・(Forrestさん、すみません。)
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ゲストスピーチ後にShowcaseが再開です。そして、プレゼンを踏まえて参加者がUCLポンドを気に入ったアイデアのブースに投資していきます。私達も「プレゼンもアイデア良かったよ!」と投資しに来てくれる人達がいて、そのときは凄く嬉しかったです。また、クラスメートからも「ピッチ凄く良かったよ」といって貰え、ちゃんと上手く出来たんだなと分かり安心しました。
30分後にいよいよ結果発表です。果たして入賞はあるのか・・・!?
(アイデア名で呼ばれるので、”UB”と呼ばれれば入賞)
まずは、People’s Choice賞(一番多くのUCLポンド集めた組)の発表です。
「 People’s Choice賞 は・・・」
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「Rare Diagnostics !」
残念。実は隣のブースにRare Diagnosticsがいたのですが、札束の様にUCLポンドを持っていました・・・凄い得票数です。
続いてBest Idea賞の発表です 。
「Best Idea賞は・・・」
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「Halt !」
またまた残念。
最後にBest Pitch賞の発表です。Simonから今年のBest Pitch賞の受賞者は2組いますとのアナウンスがあります。もしやあるのか・・・!?
「Best Pitch賞は・・・」
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「Will You ClickとKALAB !」
そうです。これだけ引っ張っておいて恐縮ですが、残念ながら入賞はならずでした。
かなり時間をかけて準備したきたこともあり、やっぱり悔しいという気持ちがありました。一方で、自分達が考えたアイデアにやはり共感してくれる人がいること、自分達も課題だと考えている点を指摘してくれている人がいることは、やってきたことがそんなに間違ってなかったなと思わせてくれました。
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残念ながら入賞はなりませんでしたが、Pitch Dayを通じて新しくプログラミングを学びそのスキルを取得することができ、授業でならったことを実際に実践する機会にもたくさん恵まれました。また、仕事じゃない環境での共同作業が難しいことも改めて実感しました。以前、銀行に勤めているときに、週末を利用して弟と友人とアイデアを考えてビジネスコンテストに出すということをしていたときも、類似の問題にぶつかりました。改めて、ここはやっぱり改善しないといけないなと思えたことが一番の収穫かもしれません。
長い記事にお付き合いいただきありがとうございました。これからTerm2のAssignmentラッシュが始まる為、またブログの更新が滞るかもしれませんが、不定期で更新していくので、今後とも宜しくお願いします!

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