UCL留学-講義-BHIV②(リーン/ビジネスモデルキャンバス)

今回はビジネスモデルを理解・説明する上で役に立つフレームワークについてご紹介します。

今回はビジネスアイデアを考えるうえで役立つフレームワークについてご紹介します。取り扱うのは、ビジネスモデルキャンバス(Business Model Canvas)、リーンキャンバス(Lean Canvas)とThe New Business Road Testの3つです。

⇒まずは前回記事を確認したい方はこちら!

【目次】
1.ビジネスモデルキャンバス
2.リーンキャンバス
3.The New Business Road Test
4.まとめ

 

1.ビジネスモデルキャンバス

ビジネスモデルキャンバス(Business Model Canvas)は新しいビジネスモデルを考えたり、既存のビジネスモデルについて理解する際に役立つフレームワークの一つです。主に9つのカテゴリーで構成されます。

①Customer Segment(顧客セグメント)
②Customer Relationship(顧客との関係性)
③Channel(チャネル)
④Value Proposition(提供価値)
⑤Key Activities(重要な活動)
⑥Key Resources(重要な資源)
⑦Key Partners(重要なパートナー)
⑧Revenue Streams(収益の流れ)
⑨Cost Structure(コスト構造)

business model canvas
◆ビジネスモデルキャンバスのテンプレート(https://www.strategyzer.com/canvas/business-model-canvas


キャンバスには考える順番が一応有ります。

まずは、①どんな顧客セグメントに対して、④どの様な価値を提供するのか、③どんなチャネルで提供するのか、また②その関係性はどの様に維持されるのか、ということを考えます。これらはキャンバスの右上に位置し、主に対象会社と外部(顧客)に係るものです。

次に、④提供価値がどの様な⑤活動、⑥資源、⑦パートナーとの関係性によって生み出されているのか、ということを考えます。これらはキャンバスの左上に位置し、主に対象会社自身(内部)に係るものです。その上で、どんな⑧収益・⑨コスト構造になっているのかを考えます。

ビジネスモデルキャンバスは便利なフレームワークですが、キャンバス上にカバーされていない重要な要素(市場や競争などのマクロ環境)があります。これらの要素を考慮する為には、PESTEL分析やファイブフォース分析を別途行う必要があります。

 

2.リーンキャンバス

リーンキャンバスはスタートアップ向けのビジネスモデルキャンバスです。基本的な構成は同じですが、4か所項目が代わります。(また一部の項目内に小項目が出来ます。)

Customer Relationshipの代わりにUnfair Advantage(競争優位性≒参入障壁)を、Key Activities、Resources、Partnersの代わりにSolution(解決策)、Key Metrics(重要指標)、Problem(問題)を考えます。ビジネスモデルキャンバスと同様に、右側がMarket(顧客)に関する内容で、左側がProduct(商品)によりフォーカスした内容になっています。

lean canvas
◆リーンキャンバスのテンプレート(https://s3.amazonaws.com/leanstack/v4/Lean-Canvas.pdf

 

3.The New Business Road Test

前述の通り、ビジネスモデルキャンバスには市場や競争環境の要素が欠如しています。ビジネスモデルキャンバスの要素を取り入れつつ、欠如している点についても考慮する様なフレームワークが無いのかと思う方もいらっしゃると思います。安心してください、ありますよ!それがThe New Business Road Testと呼ばれるものです。こちらは、London Business SchoolのJohn W. Mullinsが提唱した考えで、まずは(とても分かり易いので)以下の動画を見てみて下さい。

The New Business Road Restは、縦軸をMacroとMicro、横軸をMarketとIndustry、中心をTeam Domainに分け、全部で7つのカテゴリーに分類したものです。

左上のMacro Market(市場環境)についてはPESTEL分析が、Macro Industry(競争環境)についてはファイブフォース分析の分析結果が該当します。下段のMicro Levelの内容についてはビジネスモデルキャンバスのCustomer SegmentとValue Propositionの内容が対応します。

一方、Team Domainは以下の3つに分類されます。
①Mission, aspirations, propensity for risk(使命感、強い願望、リスクに対する選好)
②Ability to execute on CSFs (Core Success Factors)(CSFsを実行する能力)
③Connectedness up, down, across value chain(バリューチェーンとの結びつき)
Mullinsが数多くのVCに投資の意思決定をする際に最も重要な要素が何かインタビューした際に、殆どがManagementだとの回答を受け、それを3つに細分化したものがTeam Domainを構成するこれらの要素です。これって当たり前なことなんだと思いますが、とっても大切で成功する起業に共通している要素だと、Term1で様々な企業のケーススタディーに触れる中で実感していきました。(詳しくは後程、Strategic Managementの記事で触れるつもりです。)

new business road test

The New Business Road Restを適切に使うと、例えば左側(Market Domain)の内容から、”なぜこのアイデアなのか?”、上段(Macro Level)の内容からは、”なぜ今なのか?”、右下(Team Domain+Micro Industry)の内容から、”なぜあなた(のチーム)なのか?”という問いに答えることが出来ます。

◆The New Business Road Test (John W. Mullins)
https://web.stanford.edu/group/techventures/resources/Ch1-Title%20Page.pdf

 

4.まとめ

如何でしたでしょうか?今回はビジネスモデルを整理する上で役立つフレームワーク3つのフレームワークについてご紹介しました。次回は戦略を考える上で役立つフレームワークについてご紹介する予定です。

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ABOUTこの記事をかいた人

30代前半の元銀行マンです。(ハンズオン型の)投資家になりたいと考えています。その準備として会社を退職して、2019年9月から英国の大学院(University College London)で1年間Entrepreneurshipについて学びます(遠回りなことしているなと思われるかもしれませんが…)。金融関連や海外大学院留学にあたって得られた知識と、留学期間中に得られた知識の備忘録も兼ねて情報発信していければと思います。 【略歴】私大理系卒(物理学専攻)⇨国立大学大学院卒(社会工学専攻)⇨銀行勤務(M&A、資本政策)⇨グループ証券会社出向(エクイティ・キャピタル・マーケット)⇨英国大学院(MSc. Entrepreneurship専攻)⇨ヤフーギグパートナーの事業プランアドバイザー⇨宇宙系スタートアップのファイナンス担当者(現在)、仲間とボードゲーム紹介メディアBOARDも運営中(https://article.board.fan/)