UCL留学-講義-Entrepreneurial Finance②(イギリスの会計)

今回は、Entrepreneurial Financeの講義内容について簡単にご紹介します。

⇒まずは前回記事を確認したい方はこちら!

【目次】
1.授業内容
2.バランスシートの書き方
3.勘定科目
4.その他(初めて知ったこと)

 

1.授業内容

今回はSimonが担当するアカウンティングと簡単な財務モデルを作成できるクラスの授業内容についてご紹介します。

全5回の講義を通じて、①会計原則(Matching Principle, 費用収益対応の原則など)、②BS・PL・CFの成立ちと連関、③損益分岐点分析、④財務指標分析、⑤財務モデルの作成を学ぶのが大枠です。

ファイナンスのバックグラウンドがあるので、個人的には一番楽な授業ではありますが、それでもUK GAAPとJ GAAP、US GAAP、IFRSとの用語やそもそもの財務諸表の書き方の差異に最初は結構戸惑いました。

 

2.バランスシートの書き方

バランスシートの構成について、英国と日米の差異について以下の通り示します。

日米:総資産=負債+純資産
英国:総資産-負債=純資産

BSの左側(借方)に総資産から負債を控除する形で記載されており、

Net Assets = Shareholder’s Equity

という形で記述されています。何でこんな分かりにくいことをしているのか疑問に思いましたが、Simon曰く、どうやら米国は経営者視点で資本(他人資本と自己資本)がどのような資産に投下されているのか見やすくするためにこの形で、一方で英国は投資家(株主)視点で考える為Shareholder’s Equityがどう使われているかというのを見やすくするためにこの形になったのだとか。

ここまでは何となく腹落ちしたのですが、実際にBSの借方の中身の記載も、

A:固定資産(Non-current Assets)
B:流動資産(Current Assets)
C:流動負債(Current Liablities)
D:ネット流動資産/負債(Net-current Assets/Liabilities) =B-C
E:固定負債(Non-current Liabilities)
F:ネットアセット(Net Assets) =A+D-E

と流動性が高い順に並ぶ訳でもなく、しかも途中で敢えてネット流動資産/負債の計算を間に挟むという、日本や米国の記載になれてしまっていると正直見づらいです。この点はSimonにも質問しましたが明確な回答はくれませんでした。何となく流動比率(短期の金繰り)とかをより気にする文化(意識した作り?)なのかもしれません。

 

3.勘定科目

英国と米国で勘定科目の名称は結構違います。(以下が主要なものです。)

(英国⇒米国の順)
在庫:Stock⇒Inventory
売掛金:Creditors⇒Account Receivable
買掛金:Debtors⇒Account Payable
払込資本:Called up Share Capital⇒Paid-up/in Capital
資本剰余金:Share Premium⇒Additional Paid in Capita※1
自己株式:Own Shares⇒Tresuary Stock

また、勘定科目ではありませんが以下も呼び方に違いがあります。
財務諸表:Accounts⇒Financial Statements
損益計算書:Profit & Loss Statement⇒Income Statement
関連会社:Associate⇒Affiliate
株式:Shares⇒Stock
定率法:Reducing-balance method⇒Declining-balance method

※1 日本だと増資した金額の1/2までを資本準備金(資本剰余金)に振り替えることができる為、資本金の登録免許税を抑える観点から、普通は増資額の1/2を資本剰余金に振り替えていますが、英国では当初のinitial share priceと比して、増資した際の株価増加分の価値をShare Premiumとして計上する様です。

 

4.その他(初めて知ったこと)

◆英国の会計基準では、Revenueには当然VAT※2(日本で謂う消費税)は含まれていませんが、勘定科目(売掛金)にはVAT20%分が含まれて計上されているそうです。よって、売掛金の回転期間を考える際に、実態よりも数値が大きくなってしまう為(BS上のVATを加味しないでPL上VATが控除された売上で控除する為)、売掛金の簿価に0.8掛けしたものも使用する様です。

※2 VAT (Value Added Tax) とは…
日本の消費税のようなもので、EUやアジアなどの国で、物やサービスの購買時に課せられる間接税のこと。付加価値税ともいう。EU加盟国は必ずVATを導入するようになっている。標準税率の下限は15%だが上限は定められておらず、国によって税率は違う。軽減税率が適用される商品もあり、食品に掛かる税率はおおむね低い。英国では標準税率は20%。

◆EBITDAR(Earnings Before Interest, Tax Depreciation, Amortization, Restructuring and rent costs)
(私が単純に知らなかっただけだと思いますが)EBITDAにリース費用まで戻した収益の指標です。航空、ホテル、小売、海外だとカジノなどの業界に関して類似株価倍率法を適用する際に使用することが多いそうです。多い理由は、事業用に資産をリースすることが多いからで、航空、ホテル業界等に限らず、オペレーティングリースを頻繁に利用する事業であれば、使用する可能性がある指標だそうです。

 

今回は以上になります。次回はItxasoが担当するVC関連の講義内容についてご紹介します。

◆次の記事を読む⇒UCL講義-Entrepreneurial Finance③(スタートアップの資金調達)





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ABOUTこの記事をかいた人

30代前半の元銀行マンです。(ハンズオン型の)投資家になりたいと考えています。その準備として会社を退職して、2019年9月から英国の大学院(University College London)で1年間Entrepreneurshipについて学びます(遠回りなことしているなと思われるかもしれませんが…)。金融関連や海外大学院留学にあたって得られた知識と、留学期間中に得られた知識の備忘録も兼ねて情報発信していければと思います。 【略歴】私大理系卒(物理学専攻)⇨国立大学大学院卒(社会工学専攻)⇨銀行勤務(M&A、資本政策)⇨グループ証券会社出向(エクイティ・キャピタル・マーケット)⇨英国大学院(MSc. Entrepreneurship専攻)⇨ヤフーギグパートナーの事業プランアドバイザー⇨宇宙系スタートアップのファイナンス担当者(現在)、仲間とボードゲーム紹介メディアBOARDも運営中(https://article.board.fan/)